博士、最近、朝食について悩んでいるんです。特に、どんな朝食が一番健康に良いのか知りたいんですけど、高たんぱくの朝食が満腹感を高めるとか集中力を上げるとか聞いたことがあります。それって本当ですか?
おお、良い質問じゃ。実は最近の研究でそのことが詳しく調べられておるんじゃ。この研究では、高たんぱく、低炭水化物の朝食(PRO)が、同じカロリー量の低たんぱく、高炭水化物の朝食(CHO)や朝食を抜くこと(CON)と比較されておるんじゃ。
そうなんですね!具体的にはどんなことが分かったんですか?
この研究は、18歳から30歳の過体重から肥満の女性30人を対象に、3つの異なる朝食をランダムに摂取させ、その後の食事摂取量や満腹感、集中力などを比較したものじゃ。結果として、PROを摂取した後の満腹感や満足感はCHOやCONと比較して有意に高かったのじゃ。それに、空腹感や食欲もPROを摂取した後に有意に低かったんじゃよ。
それはすごいですね。でも、実際の食事量には違いが出たんですか?
面白いことに、昼食時のエネルギー摂取量や1日の総エネルギー摂取量には有意な差はなかったんじゃ。つまり、満腹感や空腹感の違いが実際の食事量に大きく影響を与えるわけではないようじゃ。
なるほど。それで、集中力についてはどうでしたか?
集中力のテストでは、PROを摂取したグループが他のグループよりも高いスコアを示したんじゃ。具体的には、PROを摂取した場合、朝食を抜いた場合と比較して集中力のテストスコアが3.5ポイント高かったんじゃよ。
それって、具体的にどういう食事だったんですか?
PROの朝食は、300グラムの高たんぱくヨーグルト「スキール」と30グラムのオーツで構成されておった。一方、CHOの朝食は全粒パン60グラムとラズベリージャム30グラム、そして250ミリリットルのリンゴジュースだったんじゃ。
ヨーグルトとオーツの朝食がそんなに効果的だったんですね。私も試してみようかな!
ぜひ試してみると良いじゃろう。ただし、人それぞれ体質やライフスタイルが違うから、自分に合った方法を見つけることが大事じゃよ。
研究の内容を詳しく解説
この研究の目的は、高たんぱく質、低炭水化物の朝食(PRO)が、同カロリーの低たんぱく質、高炭水化物の朝食(CHO)や朝食を摂らない場合(CON)に比べて、昼食およびその後の一日の自由選択エネルギー摂取量を減少させるかどうかを調査することでした。ランダム化された3期間クロスオーバー試験として設計され、30人の過体重から肥満の若い女性(18~30歳、BMI >25)が参加しました。
研究方法
参加者はランダムな順序で、PRO、CHO、またはCONの朝食を摂取した後、3時間後に自由選択の昼食を摂取しました。食事の間の食欲感覚と試験食の味覚を視覚的アナログスケールで評価し、複数の時間点で血液サンプルを採取して、食欲調整腸ホルモン、インスリン、グルコースを分析しました。また、朝食後150分後に認知集中力テストを実施しました。
主な結果
PRO朝食はCHOおよびCONと比較して、満腹感、満足感が高く、空腹感、食欲が低くなりました。食欲調整腸ホルモンのレベルは3つの条件間で有意な差はなく、昼食の自由選択エネルギー摂取量および総日エネルギー摂取量も有意な差は見られませんでした。しかし、PRO朝食を摂取した場合、認知集中力テストのスコアが他の2つの条件よりも3.5ポイント高くなりました。
研究の意義と今後の展開
高たんぱく質、低炭水化物の朝食は、過体重から肥満の若い女性において、朝食後の満腹感を増加させ、昼食前の認知集中力を向上させることが示されました。ただし、総日エネルギー摂取量の減少にはつながらなかったため、長期的な影響を調査するための追加研究が必要です。
用語解説
- 高たんぱく質朝食(PRO): たんぱく質が豊富で、炭水化物が少ない朝食。
- 低たんぱく質高炭水化物朝食(CHO): たんぱく質が少なく、炭水化物が多い朝食。
- 自由選択エネルギー摂取量: 被験者が制限なしに自由に食べた量のエネルギー量。
- 食欲調整腸ホルモン: 食欲や満腹感を調整する腸から分泌されるホルモン(例: コレシストキニン、グルカゴン様ペプチド-1、グレリン)。
研究の出典
【題名】A dairy-based, protein-rich breakfast enhances satiety and cognitive concentration before lunch in overweight to obese young females: A randomized controlled crossover study
【著者名】L. B. Dalgaard, D. Z. Kruse, K. Norup, B. V. Andersen, M. Hansen
【掲載誌】Journal of Dairy Science
【掲載日】2024年5月
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